世間から虐げられている怪物や男が、心優しい女性に惹かれて恋に落ちる。
美女と野獣やノートルダム・ド・パリなどの作品に見られる物語の筋です。
どちらもフランス生まれの作品ですが、北欧の国アイスランドでも
また一つ、冴えない大男の恋愛が始まりました。
好きにならずにいられない
まず最初に注意として、上のポスターから受ける印象と映画の内容はかなり異なっていたという点があります。
なので、モテないおじさんが若い女の子に恋をして、そこから始まるハチャメチャなラブストーリー、的なものを期待している方にはオススメしません。
映画全体の雰囲気は終始陰鬱な感じで、登場人物に明るく前向きな人は誰一人出てきません。主人公含め、大体全員が暗い顔をしています。
美女と野獣のような感動物語ではなく、本当にリアルな人間と人間の恋愛模様を、かなり暗めに描いた作品です。
しかしその中でも思わず笑みがこぼれるようなシーンはあります。
主人公が毎週金曜日に大盛りのパッタイを食べに行くレストラン、そこに彼女を連れて行った日、店のスタッフが嬉しそうにサービスしてくれる場面なんかは、主人公と周りの人々の関係性が温かいものであると感じます。
「作品あらすじ」
主人公「いいおっさんなのに実家暮らしだし、母親は彼氏と朝からセックス。居場所がなくてもうしんどい」
母親「いい年なんだから恋人作りなさいよ。ほら、誕生日プレゼントにダンス教室の体験チケットあげるから、そこで出会いもあるかもよ」
→ダンス教室の前で車を停めていると、中から出てきた女性に家まで送って行ってと頼まれる。
それから女性に恋に落ち、一方的にアプローチをかけ続ける。
しかしある時、彼女は重度のうつ病を患っている事が判明。
情緒不安定な彼女に主人公は突き返されながらも、献身的に支え続ける。
果たして2人の関係性はどのように変わっていくのか?
「鑑賞ポイント」
①主人公の健気さ
本作の主人公フーシ(映画の原題も「フーシ」)は、大人しい性格と並外れた巨体のせいで職場でもいじめられる日々。
同じマンションに住む小さな女の子に懐かれて、一緒に遊んでいるだけで警察に通報されて不審者扱いを受ける。
そんな辛い毎日を過ごしているのに、フーシは涙一つ流さずただ黙々と人生を生きています。
そして彼が恋をした相手にどれだけ冷たくされようと、食事の世話からペットの餌遣りまで、うつ病で動けない彼女のために尽くす姿はとても健気でした。
上でも述べましたが、日本版のポスターはかなり映画の印象を間違った方向に誘っている気がします。
オリジナルのポスターは、使われている写真こそ同じですが
映画の寒々しさや陰鬱な雰囲気を全面に押し出しているものなので
その点だけ注意が必要です。
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