夫婦間の営みがうまく出来なくなる、いわゆる「セックスレス」という現象に悩まされる事は珍しくありません。データによると、その割合は年代が上になるほど高まる傾向にあり、20代のカップルだと約11%だった数値が、50代となると全体の約半分の46%にまで跳ね上がっています。
今日の映画は、そんな「セックスレス」に頭を抱える夫婦のお話。
変化の無い平凡な毎日を送っていた夫婦だったが、友人の勧めで
ストリップショーに足を運んだことから事態は動き始めます。
午後3時の女たち
「4コマあらすじ」
「作品みどころ」
レイチェルとその夫、ジェフはセックスレスに悩んでおり、もう半年も性交渉を行っていないという。日本性科学会の定義では、1か月以上の空白期間があれば、それはセックスレスという認識だ。そう考えると、レイチェル夫妻はかなり深刻な状況と言えるだろう。
見かねたママ友から「ストリップショーに行くといい」と提案を受け、はじめは乗り気でなかったレイチェルも、結局ジェフを誘って人生初のストリップへ。
ダンサーたちを見て楽しんでいた2人だったが、レイチェルはテンションが上がって、つい個室へと一人で入ってしまう。そこで待っていたのは、過激な衣装に身を包んだ若い少女だった。
年を尋ねられた少女は、「19歳」と答える。ちなみにこれは嘘で、本当は22歳だと後から明かされている。鯖読んだ理由は、「だって法律ギリギリの方が、やばいことしてるみたいでドキドキするでしょう？」とのこと。
個室内で二回り近く年下の少女に誘惑され、この瞬間からレイチェルの中で何かが変わっていった。
ストリップショーに行った数日後、レイチェルは街中で偶然に少女と再会する。名をマッケナと名乗ったそのストリッパーの少女と、夫の仕事や何気ない話をしながら仲良くなっていく。
そんなある日、マッケナが停車中の車のトランクから必死に荷物を下ろしている場面に遭遇する。事情を聞くと、車はマッケナの彼氏のもので、トランクには彼女の持ち物や財産が全て入っているという。
しかし違反切符を大量に切られていた彼氏の車は無慈悲にレッカーされてゆき、全てを失ったマッケナは途方に暮れてしまう。
そこで「良かったらしばらく私の家に住まない？」と救いの手を差し伸べるレイチェル。マッケナもその言葉に甘えてレイチェル一家と同じ屋根の下で暮らし始めた。
旦那のジェフも、レイチェルも、マッケナの事はずっとストリッパーだと思い込んでいたが、ある時に真実が彼女の口から告げられる。
マッケナはストリッパーだけでなく、セックスワーカー、つまり売春婦として金を稼いでいるというのだ。
羽振りの良い男のもとへ行き、時給2万円ほどを体で稼ぎ出す。
22歳という若い年齢の彼女には、もっと別の生き方がある、とレイチェルは
売春から足を洗うように説得を試みたが、マッケナの心は変わらなかった。
そしていつしかセックスレスで悩むレイチェルも、夫以外と性交するという事に惹かれ始めたのだった。
セックスレスに陥る原因は様々なものが考えられるが、レイチェルとジェフの場合は一体何なのか？
一つは劇中のレイチェルのセリフから感じ取る事が出来る。
「夜はセックスしたくないの。するなら、午後3時半とか、それくらいの時間に。昼間にカーテンを閉め切って、暗い部屋でするのがいい」
タイトルにもある「午後3時」というワード。一般的に夫婦の営みには適さない時間だ。しかし、その「一般的な」性交渉に完全に飽きてしまっているからこそ、せめて時間やシチュエーションだけでも変えてみたい、という
レイチェルの考えが、このセリフに込められているのではないだろうか。
さらに夫のジェフ側にも、レイチェルに対しての飽きや嫌気がにじみ出ているシーンがある。
レイチェルがジェフに跨る形で腰を動かしている時、決して彼は目を開けようとしない。それは愛する妻であるレイチェルの顔を見ながら果てたくない、という意思の表れと思われる。
このようにお互いの意識がどんどんずれてゆき、セックスレスに陥り、夫婦関係も険悪なものになってゆくのだ。
そんな夫婦の間に突然やって来たマッケナは、2人にどのような影響を与えるのか？
そこも注目ポイントだ。
「コメント」
セックスレスの問題をテーマにした本作は、タランティーノ監督が絶賛したという非常に質の高いヒューマンドラマです。
単純に夫婦間の問題で終わらせるのでなく、2人の間に売春婦の若い娘を挟むことで、より事態が複雑化してゆきます。
特に、マッケナの影響でレイチェルが売春に興味を持ち始めたところは、見ていて心地の良いものではありませんでした。
確かに、旦那以外の男と寝る、というのはマンネリ解消の特効薬になり得るかもしれません。しかし現実問題として、倫理的にそれはどうなんだという部分があります。
実際のセックスレスの対処法を調べてみたのですが、ダイエットなどで見た目をガラリと変える、あえて会えない時間を作ってみる、思い出の場所に行く、などが挙げられるそうですね。
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