ディズニークラシックの名作、『ピーターパン』がついに実写化! この作品、アニメを実写映像化しただけの作品ではなく、結構オリジナル要素が強いんです。一番大きな特徴としては、「大人になるとはどういうことか?」というテーマに、キャラクターを通じて迫っている事。アニメ版では描かれなかったピーターパンとフック船長の関係性についても、テーマに基づいた設定が練られています。そんな『ピーターパン&ウェンディ』について、作品のポイントをお伝えします!
①ピーターパンのキャラはアニメに忠実
まず主人公のピーターパン。この人、もともとアニメ版からして結構クセのある性格なんです。ディズニーランドのショーなどで見る分には爽やかな好青年みたいなイメージかもしれませんが、口が少々悪く、ちょっと俺様気質な男の子。アニメ版では初対面のウェンディに対して、「これだから女は」みたいな発言まで飛び出す始末!
それを考えると、実写版のほうがマイルドになっていました。だけど粗暴な一面はしっかりと表現されていましたよ。
ピーターパン役、アレクサンダー・モロニーは映画初主演。軽やかな身のこなしや、フック船長を小馬鹿にしたような態度はピーターパンそのものでした!
②アニメ版よりちょっとキツめなウェンディ
ヒロインのウェンディといえば、小さな弟たちの面倒を見るしっかりもののお姉ちゃんのイメージ。性格も優しく、ウェンディ自身子どもであるにもかかわらず、なんだか母性を感じるキャラクターでした。そして実写版はというと、まあ年相応の女の子という感じです。いたずらが父親にバレた瞬間に、全ての罪を弟に擦り付けようとしたり、調子に乗ったピーターパンを殴りつけるシーンもありました。
最近のハリウッド映画では、女性は守られるべきか弱い存在から、戦う強いヒロインへと変化しています。ウェンディもそのあおりを受けて、アニメ版よりもアグレッシブなキャラクターになったのではないでしょうか。
ウェンディ役、エヴァー・アンダーソン。女優ミラ・ジョヴォビッチの娘さんです。そう思うと、母親が戦うヒロインの代表格みたいな人でしたね。
③フック船長とピーターパンは親友だった
ピーターパンの悪役といえば、赤い帽子に左手のかぎ爪。海賊団のリーダー、フック船長です。
アニメ版でもピーターパンと宿敵として登場しましたが、なぜ2人が戦っているのか? という詳細までは描かれていませんでした。実写版ではその点を深く掘り下げています。
実はもともと、フック船長はピーターパンの親友だったのです。小さい頃に海賊団に拾われ、ピーターパンとともにネバーランドで楽しい人生を送っていました。しかしある時、フックは何も言わずにピーターパンのもとを去ったのです。大人になれないネバーランドに嫌気が差し、現実世界へと戻っていったフック。そして成長し、大人になった彼は再びネバーランドへと帰ってきましたが、もう昔の姿はどこにもありませんでした。
残忍な海賊になり果てたフックは、「ネバーランドに子どもはいらない!」と、ピーターパンやその他の子ども達を迫害し始めるのです。そこから2人の因縁が生まれ、ウェンディたちを巻き込んだ決戦が巻き起こります。
フック船長役のジュード・ロウ。アニメ版とは違い冷酷なフック船長でしたが、ところどころコミカルな一面もある、憎めない悪役を演じていました。
④黒人のティンカーベルは実際どうだったか?
最近のディズニーは過剰なまでのポリコレへの配慮のせいで、作品のファンから反感を買う事もしばしば。今作でも、ティンカーベルを黒人キャストが演じると発表された段階で、かなりの批判が集まっていました。では実際に映画を見て、黒人ティンカーベルはどうだったか? という事ですが、そこまで問題では無かったように思います。
そもそもティンカーベルは喋らないですし、アニメ版よりも出番は大幅にカットされています。アニメだと、ティンカーベルはピーターパンにとって唯一無二の友達、という感じだったので、フックに誘拐されたり、ピーターパンを助けるために毒を飲んだりと、準ヒロイン的なポジションでした。
しかし実写版では彼の友達はフック船長。ティンカーベルに出る幕はありません。ただ空を飛ぶときだけ、妖精の粉をふりかけるために呼ばれているという印象でした。ハッキリ言うと、存在意義があまり無くなったという感じ。妖精の粉だけ袋詰にして携帯しておけば、この際ティンカーベルはいなくてもいいんじゃないか? と思いました。
まあでも、ヤラ・シャヒディのキュートな表情はティンカーベルらしさがあってよかったです!
⑤大人になると失うもの
この映画で一番印象に残ったシーンは、決闘に負けたフックが海に落ちかけた瞬間、ピーターパンが彼の腕を掴んでこう言うんです。「何か楽しいことを考えて」
ピーターパンたちが空を飛べる条件は、1:妖精の粉をふりかけること、そして2:楽しい事を考える事なんです。ウェンディがロンドンの自宅の窓から飛び出した時も、幼い頃の思い出に浸ることで体がふわふわと浮いてきました。だからピーターパンはフックが海に落ちるのを助けようとしてそう言ったのですが、フックは切なげな表情でこう返しました。「何も浮かばないんだ」
そして海へと落下したフック。大人になると辛い事ばかり考えてしまい、楽しいことを想像すらできなくなってしまう。そんな痛烈なメッセージをこのシーンから感じました。
『ピーターパン&ウェンディ』は一見の価値あり!
前述のティンカーベルの件や、ロストボーイズに女の子がいる点などから、「どうせまたポリコレ映画でしょ?」と敬遠している方もいるかもしれません。ですがこの映画は、純粋にエンターテインメント作品として楽しめます! アニメ版のピーターパンが好きな方、そうでない方も、ぜひ視聴してみるのをおすすめします!(配信はディズニー+限定)
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