フランス芸術史に触れよう! 『ミッドナイト・イン・パリ』で学ぶアートの歴史。ピカソやダリも登場します!

◆特集記事

もしもタイムマシンで過去に戻れるなら、いつの時代へ行きたいですか? 子供の頃の自分に会ってアドバイスをしたい、という人もいるでしょうし、中にはジュラ紀に行って恐竜をこの目で見たい! という人もいることでしょう。では「憧れの人が生きた時代へ戻る」というのはどうでしょうか? 映画『ミッドナイト・イン・パリ』では、まさにそれが実現するんです! 芸術史の偉人たちが登場するこの映画を見て、フランスの芸術にちょっと触れてみませんか?

『ミッドナイト・イン・パリ』ってどんな映画?

映画界の巨匠・ウディ・アレン監督が、過ぎ去った時代への憧れを独自の世界観で描き出したロマンティックなSF作品です。主演は『ナイトミュージアム』や『インターンシップ』のオーウェン・ウィルソン。現在と過去、2つの時代のパリを感じられる、フランス好きにはたまらない1作!

世界一自然なタイムスリップ

普通タイムスリップものの映画だと、結構大そうなマシンとかに乗りがちじゃないですか? デロリアンなんかその典型です。ああいうのもワクワクしますが、本作には派手な演出がありません。夜中12時の鐘が鳴ると、パリの路地裏にやってくる一台のクラシックカー。誘われるがままに乗り込み、夜中のパリを走っていると、いつの間にか過去へと到着しているんです! 

こちらが本作のタイムマシンにあたるクラシックカー。あまりにしれっとやってくるので、誰でも乗り込んでしまいそうです。

芸術史の偉人がぞくぞく登場!

主人公ギルが誘われたのは、1920年代のパリでした。20年代といえば芸術運動が盛んだった時代で、現代に語り継がれる有名なアーティストたちが生まれた、いうなれば歴史の転換点です! そこではたくさんの偉人と出会う事になるのですが、それぞれのキャラクターが立っているので、とても見ごたえがあります。

あの「ゲルニカ」を描いたピカソも登場します。というわけで、『ミッドナイト・イン・パリ』で出会える芸術史の偉人たちと、その作品を紹介していきます。フランス芸術を学ぶ入門にどうぞ!

①スコット・フィッツジェラルド(トム・ヒドルストン)

まず1人目は、小説家のスコット・フィッツジェラルド。代表作は「華麗なるギャツビー」 レオナルド・ディカプリオ主演で映画化されたり、日本では宝塚の舞台で上演していたりと、何かと有名な作品です。

レトロファッションが似合うトム・ヒドルストン。ウェーブしたヘアもセクシーです。隣にいるのは妻のゼルダ。彼女は「アメリカ人最初のフラッパー(おてんば娘)」として名を馳せた女性で、かなりぶっ飛んだ女性だったと言われています。酒にドラッグ、煙草に男遊び。10代の頃から超が付くほどのやんちゃでしたが、スコットに求婚されて、2人は夫婦となりました。夫婦円満とはいかなかったみたいですが。

『華麗なるギャツビー』

スコット・フィッツジェラルドの著作『華麗なるギャツビー』は、アメリカ文学の最高峰とされています。ギャツビーという大富豪の男は、何が目的で巨万の富を築いたのか? ロマンス的要素に加えて、当時の世相をうまく反映した設定が反響を呼び、瞬く間に大ヒット作となりました。

②パブロ・ピカソ(マルシャル・ディ・フォンソ・ボー)

2人目は皆さんご存知、画家のピカソです。とんでもなくフルネームが長いことでも有名。彼は「キュビズム」と呼ばれる画法を生み出した第一人者であり、それまでの芸術に対する価値観をひっくり返したんです! 

泣く女

ピカソのキュビズムが分かりやすく表れている1作「泣く女」 芸術において、絵画というものは「目に映るものをいかに忠実に再現するか」という、写実主義と呼ばれる考えが主流でした。学校の授業でやったことのある、写生というやつですね。じゃあこの絵を見て下さい。こんなものが目に映るわけないですよね? 

そう、ピカソの生み出したキュビズムは写実主義とは完全にかけ離れたもので、彼がキャンパスに描く絵は絶対に現実に存在し得ないんです。「見えたものを描く」のではなく、「見えないものを描く」 そんな斬新なやり方に、当時の芸術界は大バッシング! 「ピカソは気が狂ったのか!?」と痛烈な批判を浴びさせられました。しかし後にこれは評価され、ピカソは歴史に名を残す偉大な画家となりました。

③サルバドール・ダリ(エイドリアン・ブロディ)

3人目は口ひげが特徴的なサルバドール・ダリ。「シュールレアリスム」と呼ばれる芸術を起こした画家の彼は、とにかく常識に捉われず、それまであったものをぶっ壊してやる! という人でした。よく日本語でもシュールと言いますが、これはシュールレアリスムに由来しています。意味としては、「今までになかったもの」というのが一番近いですね。

この映画では、実在のダリのような口ひげこそありませんでしたが、なかなかにキャラが強いんです。特にその喋り方。自己紹介するときに、「ダリィ!!」ってすごい巻き舌で言うんですよね。しかも聞こえてるのに何回も。実際のダリもかなりの変人ではあったそうです。

記憶の固執

シュールレアリスムの代表的作品。本来は固いものであるはずの時計が、まるでチーズのようにぐにゃりと溶けている不思議。この非現実な描き方こそ、ダリの真骨頂です。

輝かしい20年代のパリへ!

映画『ミッドナイト・イン・パリ』では、様々な芸術史の偉人に出会えます。ぜひ映画を見る前に、少しでも当時の芸術について知識を仕入れておくと、より没入感が味わえますよ! 紹介した以外にも色んなキャラクターが登場するのでお楽しみに!

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