【映画】待ってるだけじゃ王子は来ない。アグレッシブな新生シンデレラ。 『シンデレラ』

◆外国映画紹介

世界で最も有名な童話である「シンデレラ」
不運な境遇から一発逆転大成功する事をシンデレラストーリーなんて言いますが、いつでも女性は男性に助けられて成功するもの、という形式は長い間変わりませんでした。

しかしおとぎ話の王道展開に一石を投じたのがこの作品。
女性が活躍できる社会を!という風潮を、昔ながらの物語にうまく落とし込んだ、ポップなミュージカル映画です。

シンデレラ

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「4コマあらすじ」

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「作品みどころ」

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これまで世間に広く知られてきたシンデレラにも、確かに芯の強さみたいなものはあったが、今作の主人公は完全な自立を志す現代的な女性。
シンデレラにはドレスデザイナーになるという夢があり、自室である暗い地下室に閉じこもっては、何枚も何枚もデザイン案を書き出していた。
限られた素材で自作のドレスを作り、町に売りに行く行動力も持ち合わせている。
周りの人間から「女に商売なんて出来ないよ」と馬鹿にされても、めげずに
ドレスの売り込みに精を出す彼女のもとに、ついに王子様が現れる。
しかし本作が従来のシンデレラと異なるのは、シンデレラの目的が
「素敵な王子様に愛してもらう事」ではなく、「自分の夢を実現させる事」であるという点だ。
この現代的な要素を、おとぎ話にうまくマッチさせていると感じる。

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全体的にキャラクターのイメージが一新されている。
特に顕著なのはフェアリーゴッドマザー。舞踏会行きを許されないシンデレラのために魔法をかけてくれる優しい妖精のキャラクターで、従来はおばあさんのイメージが強い。
だが本作では、すこぶる陽気で黄金に輝く派手なドレスに身を包んだ黒人の男性になっている。
フェアリーゴッドマザーというよりは、アラジンのジーニーみたいな感じ。
「ビビデバビデブー」よりも「フレンドライクミー」がお似合いだ。

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オリジナル要素がふんだんに加えられた本作だが、話の流れや主要な要素は
しっかり原作の形を保っている。
継母に虐められているシンデレラの惨めな生活っぷりや、馬車で舞踏会に向かい、ガラスの靴を片方忘れてくるのもそのままだ。
そこに少しづつアレンジが足されているという雰囲気。
例えばガラスの靴は落とすのではなく、12時が迫ったシンデレラが城から逃げる最中、追ってきた相手に投げつけている
さらに原作では2人の姉妹も継母同様に性格が悪かったが、今作はそうでもなく、ディズニー版のような憎たらしさは感じられない。
一番大きな違いとしては、シンデレラの性格だろう。
王子の前に初めて姿を現すシーンでは、前国王を模った大きな銅像の上によじ上り、国王から叱咤されている。国のトップに怒られても反省するでもなく、「だって演説が見えにくかったんだもん」と開き直るような性格だ。


「コメント」
まさに「新生シンデレラ」といった本作。
従来のイメージを覆し、意思が強く自立した女性像をシンデレラに投影した
現代風の作品です。
ミュージカル仕立てでテンポも良く、無駄なシーンが無かった印象でした。
王子の妹という新キャラも登場しますが、国よりも自分の恋愛を大事にする王子とは反対に、野心家で政治の事を第一に考える統治者向きの性格をしています。
あまりシンデレラで描かれる事のない、王族側の家族事情にも触れている本作。こういった新しいおとぎ話の映画は今後も作られていくのではないでしょうか。

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