今の時代、巡業サーカスなんてものはほとんど無くなりましたが
昔は結構流行っていたそうで、手品にアクロバット、動物使いや
占い師など、様々な種類の芸人が一団に属していました。
今日の映画でクローズアップされるのは、人形遣いというちょっと他と比べると地味な演目ですが、だからこそ生まれた淡い恋の物語です。
リリー
「4コマあらすじ」
「作品みどころ」
リリーが人形と初めて話したのは、サーカスをクビにされて途方に暮れていた時の事。人生に行き詰まったリリーが梯子からの飛び降り自殺を考え、
まさに梯子を上り始めたその時、咄嗟にポールは人形を喋らせて彼女を引き留めた。
勿論リリーだって16歳の少女なのだから、それが操り人形だと理解しているが、親身になって話を聞いてくれる人形たちに心を許した彼女は
まるで友達同士のように会話を弾ませる。
その様子が微笑ましく愉快だと評判になり、ポールの操る人形とリリーのアドリブ会話ショーを目当てにサーカスに訪れる客が急増した。
リリーが人形と一緒に大好きな歌を歌うシーンはとってもキュート。
人形遣いのポールは一緒にショーをやっていく中で、素直で愛らしいリリーに恋心を抱いていく。
しかしリリーは同じサーカス団の魔術師マーカスにぞっこん。もともと身寄りのないリリーがセクハラ男に襲われていたところを助け出したのはマーカスだったので、それもあってリリーは彼を慕っている。
スマートでハンサムなマーカスに対して、ポールは常に仏頂面で怒りっぽく、リリーからも「あの怒りんぼ」と言って避けられ気味。
リリー自身もポールは自分を嫌っていると思い込んでいるが、実は彼は不器用なだけ。
気持ちを素直に伝えられないポールと、実は婚約者がいるのでリリーの
猛アタックをひらひらと躱すマーカス。
リリーの心はこの２人に対してどのような動きを見せるのか？
作中では度々リリーの空想シーンが挿入される。
空想の中の彼女は艶っぽい恰好で意中のマーカスを誘惑したり、
ポールの操る人形たちと楽し気に踊っている。
バレエのような軽やかな動きと、作品の特徴であるファンシーな雰囲気が
たっぷり楽しめるシーンとなっている。
「コメント」
1953年公開のクラシック映画。主人公リリーの愛らしさと、彼女を巡る関係が見どころの作品です。
はじめにマーカスとリリーが出会った時、「君みたいな若い女の子はまだ男を知らない」とマーカスから忠告されますが、そんな事は意に介さず猛アタックするリリー。
しかしマーカスには実は婚約者がいると知った時、初めてリリーは裏切られたという気持ちとともに大人の階段を昇ったように思います。
リリー「なんで婚約者がいるのを黙ってたの？」
マーカス「いるとは言ってないけど、いないとも言ってない」
というような、大人の狡さを身をもって実感したシーン。
あとは舞台となっている巡業サーカス。トレーラーがいくつも並び、芸人たちが寝食を共にしている様子は、当時のサーカスの雰囲気を忠実に再現しています。そういうのが好きな方はぜひ。
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